ここで私が書くのは「作家」山本弘についてであり、と学会の方面については特に書きません。
というのも、私がと学会方面の書籍に手を出していないから悪いのですが……。
そもそも私が山本弘の本に出会ったきっかけというのが「詩羽のいる街」という作品の帯を乙一が書いていたからなんですよね。
乙一の新刊がなかなか出ないので、乙一が帯を書いている本も思わず買ってしまう悲しい習性…。
そんなこんなで手に取った「詩羽のいる街」でしたが、とにかく凄かった。
ジャンルとしては「ご近所ファンタジー」と言っていいんだと思うんだけど、内容の濃さを考えると、そこだけには留まらない本だと思います。
「詩羽」という女性が色んな人間と関わっていって物語が展開していくんだけど、この詩羽が完全なる主人公かと言えばそうではなくて、詩羽に関わっていく人たちの方が主人公のような気がします。
この詩羽によって様々な人が出会って繋がっていって変わっていく、というのが物語の大まかなあらすじ。
詩羽はいうならこの物語の中で触媒として機能している。
人と人とをつなぐ存在として登場する。
けれど単なる脇役ではなくて、彼女も彼女としての魅力があって、それが色んな人を引きつける理由だと思う。
それがあるから色んな人と人を出会わせることが出来る。そんな存在。
まぁこの話の筋もさることながら、話のネタの方も、この山本弘の本は凄い。
「ネット社会」や「出版業界」などの裏側の暗い部分をえぐりだすように描いている。
皆が気にはしているけど大多数の人間が取り立てて問題視もしていない事柄を題材にして描いていて、毎回詩羽の活躍で解決を見る。
詩羽が人と人を巡り合わせることでそういった事件が解決する。
ネットの荒しの問題とか、そういうのが解決していく物語を見ていると、詩羽がいれば世界は平和になるのに!!と思うんですが……。
山本弘の作品にはそういった、「大衆の総意の暴走」とか「不特定多数の脅威」とか言ったネット社会とか大衆の怖さみたいなものを描いたものが多くあって、そのほとんどがSF作品なのだけれど、フィクションだからって馬鹿に出来ないよなぁ、といつも思う。
物語はそりゃフィクションだけど、こういう問題は実際あるしあり得ることだと思う。
山本弘の本を世界中の人が読んで正しく理解し共感出来れば戦争なんかなくなるのに、と思うが、無理ですかねぇ。
題材とあともう一つの魅力は小ネタですかね。
特に「詩羽~」なんかは漫画家志望さんとかが出てくるので特にオタク的ネタが多くちりばめられていて、それをいっこいっこ探しながら読むのも面白いです。
巻末の参考資料の中にノンフィクション物も多くありますが加えてラノベが入ってるくらいですからね。
その辺すべてが私のツボに触れたので一つ読んで大変好きになってしまって色々小説を買い漁りました。
この「詩羽」か「アイの物語」という作品のどちらかは是非映像化してほしい作品です。
誰か監督さん…!!一つ頑張って……!!
「MM9」という作品は先ごろドラマ化されましたね。
嬉しい限りだったんですが、深夜放送ということもあり、ほとんど見れていない……orz
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